文化か、仕組みか。現場でよく聞くこの問いを考える

今年も弊社「店番長」はリテールテックに出展し、私自身も現地に参加しました。会場で約200社以上のチェーンストア企業とお話しする中で、何度か同じ問いに出会いました。

「文化が先か、仕組みが先か」

これは一見、抽象的なテーマのようで、実は現場改善やDX推進の成否を分ける極めて本質的な問いです。今回は、日々チェーンストア企業と向き合う営業の立場から、この問いを現場視点で掘り下げてみたいと思います。

なぜ今、この問いが重要なのか

チェーンストア業界では、人手不足や業務の複雑化、店舗オペレーションの属人化といった課題が慢性化しています。その解決策として、多くの企業が「仕組み」による標準化や可視化、つまりDXに取り組んでいます。

しかし、現場でよく聞くのはこんな声です。

  • 「ツールは入れたが、使われない」
  • 「ルールはあるが、徹底されない」
  • 「結局、できる人に依存してしまう」

つまり、仕組みだけでは回らない現実があるのです。

結論:「仕組みで文化をつくる」が現実解

では、どちらが先なのか。

私自身の結論は、「仕組みで文化をつくる」です。

ポイントは順番ではなく、行動を設計できているかどうかにあります。文化は意図してつくるのが難しい一方で、行動は設計できます。そして、行動が変われば、それがやがて文化になります。

なぜ仕組みは「 使われない 」のか

ここで重要なのは、「仕組みがあるのに回らない」理由です。多くの場合、原因はシンプルです。

→行動につながる設計になっていない

例えば、

  • 入力する意味が現場に伝わっていない
  • 入力しても何も変わらない
  • 使い勝手が悪い
  • 評価や成果とつながっていない

この状態では、現場にとって仕組みは「ただの作業」になります。結果として、

  • やらされ感が生まれる
  • 入力が形骸化する
  • 現場が疲弊する

という悪循環に陥ります。

"使われる仕組み"の設計ポイント

では、どうすれば仕組みは機能するのか。鍵は、「行動→成果」のつながりを設計することです。

具体的には、次の3点が重要だと感じています。

1.入力すると"何が変わるか"を明確にする

「なぜやるか」ではなく、「やるとどう良くなるか」。

  • 業務がどれだけ楽になるのか
  • 数値がどう見えるようになるのか

ここが腹落ちしない限り、現場は動きません。

2.行動が評価・成果とつながる設計にする

  • 入力している人が評価される
  • 数値改善につながる

こうした報われる構造がないと、仕組みは定着しません。

3.成功事例を横展開する

  • うまくいった店舗の事例を共有する
  • 「自分たちでもできる」と思える状態をつくる

これによって、行動が一部の店舗から全体へと広がっていきます。

チェーンストアにおける本質

チェーンストアにおいて重要なのは、どの店舗でも再現できることです。だからこそ、

  • 属人化した文化に頼らない
  • 仕組みを単なるルールで終わらせない

この両立が必要になります。そのためには、「仕組みで行動を変え、その行動を文化にする」という発想が不可欠です。

最後に

リテールテック2026での対話を通じて感じたのは、多くの企業がすでに「良い仕組み」を持っているということでした。それでも変わらないのは、その仕組みが「使われる前提」で設計されていないからかもしれません。

自然に使われること。成果につながること。そして、それが他の店舗にも広がっていくこと。この3つが揃ったとき、仕組みは少しずつ文化になっていきます。

「文化か、仕組みか」という問いに対して、私なりの答えは一つです。

仕組みで文化をつくる

現場の変化は、いつも設計から始まっています。

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