スタッフのアイデアは店長次第

店舗スタッフから業務改善のアイデアを集める取り組みを支援していると、あることに気づきます。
それは、「アイデアの量と質に、店舗ごとで大きな差が出る」という事実です。

ある店舗では、毎週のようにアイデアや好事例が投稿されてくるのに、別の店舗では、数か月経っても一件も投稿がない。
スタッフの能力に大きな違いがあるわけではない。業務内容もそう大きくは変わらない。では、何がこの差を生んでいるのでしょうか。

店長が率先して動く店舗は強い

一つの大きな違いは、「店長の関わり方」です。
アイデアを積極的に投稿している店舗には共通点があります。それは、店長自身が率先してアイデアを上げているということです。

「店長がやっているから、自分もやっていいんだと思えた」
「店長が本気で取り組んでいるのが伝わるから、自分も応えようと思った」
このような声が、スタッフから自然と聞こえてきます。
逆に、店長が取り組みに消極的な店舗では、スタッフも動きづらくなります。店長の姿勢は、想像以上にスタッフに伝播します。

店長がつくる「アイデアを出しやすい空気」

もうひとつの違いは、「スタッフがアイデアを出しやすい環境づくり」がなされているかどうかです。
店舗スタッフにとって、「本部へ直接アイデアを上げる」という行動は、心理的ハードルが高いものです。「店長に無断でやっていいのか」「自分の意見なんて出していいのか」そんな迷いがつきまといます。

だからこそ、店長の一言がスタッフの勇気につながります。
「私のことは気にせずにどんどん上げていいよ」
「この売場は工夫されていて良いね。本部に報告してみたらどうかな」
「迷っているなら、まず出してみよう」
こうしたメッセージや声かけがあるだけで、スタッフの行動は変わります。

店長を巻き込むことで、組織は動き出す

アイデア集めの取り組みをすべての店舗に広げていくには、現場のキーパーソンである店長の協力が欠かせません。
アイデアを出す主体はあくまでスタッフですが、その背中を押し、風通しの良い空気をつくるのは店長の役割です。
店長自身が取り組みに共感し、主体的に関わってくれたとき、全社の改善活動が本当の意味で動き始めるのではないでしょうか。

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