続けるより難しい「やめ時」の決断-定期指示を見直す3つの視点-
チェーンストアでは、業務の標準化やルールづくりを通じて、現場の負担を減らしながら運営の精度を高めていくことが重視されています。
衛生チェックや月末の提出物など、毎日・毎週・毎月のルーティン業務は、どの店舗でも日常的に行われているかと思います。ただ、一度始めたルーティン指示ほど、やめるタイミングを見つけるのが難しいものです。
現場からは、「やる意味が薄れてきている」「続けているけど評価されない」「もう必要ないのでは?」といった声が聞こえてくることも少なくありません。
そこで今回は、ルーティン指示を続けるべきか、それとも見直すべきかを整理するための「3つの視点」をご紹介できればと思います。
①「どうなったら達成か?」を定義しているか
最初のポイントは、終わり方が明確かどうかです。
始まりは「衛生面で事故があったから」「棚卸でズレが発生したから」など、理由がはっきりしていても、その後どうなれば目的が達成されたのかが曖昧なまま続けてしまうケースは多く聞きます。
指示の目的や達成条件をあらかじめ明確にしておくことで、「いつ終了するか」が判断しやすくなりますし、評価や改善にもつなげやすくなります。
②継続の「意味」が伝わっているか
時間が経つにつれて、最初の目的や背景が薄れてしまい、「なぜやっているのか分からない」と店舗側が感じることがあります。
ある企業では、すでに全店が確実に実行できている業務にもかかわらず、エビデンス写真の提出を1年以上求め続けていました。アンケートの結果、店舗側は「信用されていないのでは?」と感じ、そのためモチベーションが低下していたことが判明しています。
継続している指示には、「なぜ続けるのか」「何の役に立つのか」 をあらためて伝える機会があると、現場の納得感が高まり、形骸化を防げます。
③「やめる判断」ができる仕組みになっているか
ルーティン指示は、「定期的にやる」ことが前提のため、本部としても見直しのタイミングをつかみにくいのが実情です。
「半年に1回は見直す」「効果が見えづらくなったら一度停止して再評価する」など、やめる/変えるための仕組みやルールを設けておくと、業務全体を見直しやすくなるかと思います。
終わらせる条件を決めてこそ、健全なサイクルが生まれる
ルーティン指示は、「始める理由」だけでなく「終わらせる条件」も考えておくことが大事なポイントです。
- 未実施ゼロが30日続いたら終了
- 背景メモを月1行だけ添えて意味を共有
- 半年ごとに「継続/廃止」を棚卸するミーティングを登録
こうしたルールを先に用意しておけば、必要な指示だけが残り、不要な負担は自然と削ぎ落とせます。
「やめ時」が見えない指示や現場で不満が出ている業務があるなら、まずは「やめてもいい達成条件」 を一行で言語化するところから始めてみてください。
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