店舗評価は、脱「売上至上」主義へ... なにを評価すべきか?

昨今、チェーンストアで次のような戦略の変化が見られるようになってきました。

セブン、人事評価で脱「売上至上」(日本経済新聞電子版)

セブン―イレブン・ジャパンは売上高で評価していた人事制度を見直す。(略)売上高や利益の達成度合いが人事評価の7割を占めていたが、これを3割に引き下げる。その一方でオーナーへの経営助言や売れ筋商品の理解度といった業務プロセスを7割に高めオーナーとの連携を重視する。

「店長には売上目標を課さない」サイゼリヤ会長の論理的思考に称賛(livedoor News)

チェーンストアの店の売り上げは「商品」「立地」「店舗面積」で決まるため、「店長の努力が及ぶところではない」。(略)「頑張っている人をほめてあげるのもよいが、もっと大切なのは従業員を公正に『評価』することだ。

従来、店長やマネージャーの評価と言えば、売上が最も大きなウェイトを占めてきましたが、今後はもっとプロセスに目を向けていく、という戦略が読み取れます。

結果よりプロセスを評価するべき理由

チェーンストアではありませんが、私が経験してきた業務改革プロジェクトでの成功事例を2つほど挙げてみたいと思います。

1. メーカーの問合せ件数を減らすため「Q&Aの作成件数」を評価

あるメーカーでコールセンターの電話問合せがパンク寸前だったため、対策を行うことになりました。
このとき行った対策は、Q&Aを作成しWebで公開することでした。

この際に設置した評価指標はゴールとなる「問合せ件数」ではなく「Q&Aの作成件数」です。

一見すると「問合せ数を減らしたいなら問合せ数を指標にした方が良いのでは?」と思ってしまいますが、問合せ数は突発的に発生した不具合や新製品の普及台数など複合的な要因が影響し不安定に増減します。問合せ数はあくまで行動による結果と考えます。したがって、現場が目指すべき指標としては「行動」を表す「Q&Aの作成件数」が適切です。

この現場ではどんどんQ&Aの数を増やし、無事問合せ数を安定的に減らすことができました。

2. 弊社では営業成績のアップに「活動量」を評価

もうひとつの例は弊社営業の商談管理です。
営業マネージャーと部下の間で設けた指標は「活動量」です。

「売上」を絶対的なノルマとして課してしまいがちですが、こちらも前述と同じで、売上はあくまで結果指標です。同じ営業マンがいきなり人が変わったように急に成約率がアップしたりしませんし、たまたま大口の商談が入ってきてもそれはラッキーなだけかもしれません。最も大切なのは商談数やアポイント数につながる、メール連絡や電話といった日々の活動を積み上げることなのです。

かくして、ありがたいことに弊社のお客さまも順調に増えております。(活動の成果は...こちらでご確認ください)

つまり、ぜひ覚えておいて欲しい成功の秘訣、それは...

『適切な行動指標』を現場とマネジメントの間でしっかりと共有すること

なのです。

チェーンストアで使って欲しい指標は「実行力」

「売上」は店舗の規模や立地、競合店の存在、特定商品の需要などに左右されるため不公平になり易く、結局売上だけで評価されてしまうと店長や店舗スタッフはやる気を失ってしまいます。

売上や利益も「結果指標」としては意識するのですが、あくまで結果としての割合に留め、経営や本部が(マネージャーと一丸となって)現場である店長や店舗に対し、行動の積み重ねを表す「行動指標」として目標設定できることがベストです。

そこで重要なのが「行動」を定量化できるツールの選択です。

弊社で開発している多店舗運営に特化した仕組みである『店番長では、店舗の日々の行動の積み上げを定量化し「実行力○○%」として見える化することができます。これをマネジメントサイドと店舗の間でしっかり共有して評価指標として使ってください。

実行力を店舗の評価として利用すると、次のような効果があります。

  • 何を目指すべきかが明確になり、店舗スタッフが迷わずに行動できる
  • 公平な定量値で評価することで、真面目で行動力のある埋もれていた店長やスタッフを高く評価でき、モチベーションが上がる
  • 行動の量や質が改善されれば、必然的に顧客満足度が上がり、売上に良い影響がもたらされる
  • 実行することで実績向上に大きく寄与する業務を発見し、その逆も行うことで企業全体の省力化や効率化をもたらすことができる

弊社では、実行力を評価指標として使い、成功したチェーンストア様のお話をたくさんお聞きしています。御社でも、指標の見直しで悩まれているようであればぜひ弊社までご相談ください。

「実行力アップ」のメソッドが書籍化されました

...さて上記に限らず、弊社では関わったチェーンストア企業様との対話の中で培った実行力アップのメソッドが多々存在します。
今回、このメソッドをまとめた本を出版いたしました。

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「実行力100%」〜チェーンストアの業績を上げる業務指示のすごい手法〜 です。

≫全国の書店のほか出版社のサイトからご購入いただけます

弊社代表、実行力研究家こと野村が執筆した書籍で、良品計画 前会長の松井忠三様やリテイルサイエンス 社長の大久保恒夫様も推薦する書となっております。

プロセス評価に「実行力」を使う成功メソッドについてはこの本にノウハウが凝縮されております。よろしければぜひご一読いただければと思います!

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