在庫のムダに気づくこと

みなさん日々、生産性向上を追求し業務の効率化に取り組んでいることと思います。しかし小売業において、特に重要な課題の1つが在庫管理です。適切な在庫管理が行われないと、品切れを避けるために過剰な発注が行われ、結果的に在庫が過剰となることがあります。私自身も以前勤めていたスーパーマーケットでの経験から、在庫管理の重要性について身をもって感じておりました。

在庫の問題

スーパーマーケット業界では、特売品と定番商品の発注が個人ごとに行われ、多くの従業員が品切れを恐れて過剰に発注していることが見受けられます。その結果、夜になると在庫整理のための時間が発生し、特に前職では、この作業を「後方整理」というタスク名で呼んでいました。初めはパルティナと呼ばれる「かご車」へ商品をテトリスのように整理していくことが楽しかったものですが、これはまったく無駄な作業であり、全体像を俯瞰して、業務を把握できていなかったという事に後に気付かされることとなります。

本来、在庫そのものが問題です。在庫があるから後方整理のタスクが発生し、コストも増加します。在庫を極限まで抑えれば、無駄な時間を減らし、コストも削減できます。特に、損益計算書上で最もコストがかかるのは売上原価であり、人件費や賃料、光熱費などよりも重要です。

品切れを恐れて過剰に在庫を抱えることは、従業員の作業を増やすだけでなく、在庫の山に埋もれてしまい、売場で品切れしている商品の補充にも影響を及ぼします。棚卸の際も準備や倉庫を整理するだけで本当にひと苦労です。これらは、売上や利益にも悪影響を及ぼす可能性があります。

在庫の適切な管理

在庫の適切な管理は小売業において極めて重要です。品切れを防ぎつつ、過剰な在庫を持たずに商品を効率的に売場へ陳列することは、企業の競争力を高める鍵です。しかし、これは容易なことではありません。なぜなら、売場の品揃え数とフェース数も在庫に大きく影響するからです。それらの要因を踏まえたうえで、適正な在庫管理を維持することが現場のマネージャーの腕の見せ所なのではないかと私は思います。

必要な在庫、不要な在庫を明確に区別することで、同じチームで働く方々にも必要在庫、不要在庫に対する理解をしてもらうことが重要です。在庫を削減しようとすると、最初は抵抗が必ず生まれます、しかし本当に在庫を減らしても売場が問題無く運営できているのを目の当たりにすると周囲のリアクションはガラッと一変します。

「こんなに倉庫って広かったんですね!」や「これだけ裏が綺麗になれば毎日掃除しようと思います」といった声が自然とみなさんから出てくるとしめたものです。成功体験を実際に体感する事で、チームが自然とあるべき姿を維持する方向に進んでいくようにリードできるようになると、売場マネージャーとしてよりよい仕事をしようという気概も生まれます。

EDLP戦略の優位性

このような状況を考えると、EDLP(Everyday Low Price)戦略は合理的な戦略と言えます。売上の増減のブレが少ないため、売上予測と客数予測がしやすくなります。そのため、EDLP戦略を採用する企業では、自動補充システムを導入して発注量を適正化し、在庫発注と管理にかかるコストを削減し、売価に還元しようとしています。

在庫管理は小売業において売上を拡大するために欠かせない要素であり、絶えず最適化する必要があります。EDLP戦略や自動補充システムの導入など、新しいアプローチを採用することで、在庫のムダを減らし、優位性を高めることが必要です。この作業は奥が深く、現場での地道な努力と、コツコツと積み重ねていく継続的な改善が求められます。

在庫で悩んでいるご担当者の方がいらっしゃいましたら、まずは単品ベースで、在庫が必要かどうかを考えるようにしてください。その在庫は本当に必要か?それはなぜ必要か?そもそも在庫そのものを無くしたらどうなるか?を自分に問いかけながら要、不要を検討していき、不要な在庫だと区分した在庫は思い切ってムダなものだと削減していくことが在庫削減への近道です。

FAXをやめてすごく得した話

前へ

主体性について調べたらビジョンの理解が深まった

次へ

店番長ロゴ変更のお知らせ