スーパー時代の経験:親会社の必勝業務マニュアル
前職のスーパーに勤め始めてまだ間もない新入社員の頃の話です。
スーパーの様々な仕事
入社してすぐの仕事は、OJTということで衣料品の売場で洋服のおたたみやレジ、陳列を学びました。2週目は4階の住居用品で品出し、商品整理に明け暮れ、3週目には青果売場でひたすらキャベツやリンゴを陳列したり、長芋を加工したり、厨房を清掃する日々。4週目はサービスカウンターで私が苦手とする包装や店内放送、銘店売場での接客、電話応対、レジ、かご・カート整理とひと通り経験した後、私の希望通り加工食品売場への配属となりました。ひと言で加工食品と言っても奥が深く、調味加工と酒菓子飲料と銘店までを責任範囲とする売場です。しかもアメリカの親会社が得意としている売場だったので、新入社員は特に加工食品に配属されたと後に聞かされました。
食品の売上高の1/4くらいを占める売場なので、張り切って仕事をするわけですが、やるべきことがたくさんありました。エンド計画に基づく商品の入れ替えや、定番と呼ばれる通常売場の発注と管理。パートさんや自身の勤怠管理、入荷したトラックから商品を品出し、レジが混めばレジに入りますが...私はレジもこの頃は苦手な仕事でした。お金を数えるのにもコツがいるので、急かされるほど並ぶレジを経験した事の無かった身としては結構辛いのです。
お客様のお申し出対応や、メールチェック、本部からの指示確認、売場のモジュラー変更(棚替え)など、初めは実施タスクが多すぎて体と頭がついていきません。かといってこのまま、ただ仕事に流されたらアルバイトと変わらないので、どうすれば効率がいいだろうか?などと頭の中では常に考えていたように思います。
そんな時に親会社式の3つの業務マニュアルが導入されました。
親会社流の必勝業務マニュアル
ちょうど親会社が変わった過渡期に私は入社したので、このようなダイナミックな業務の変更だったり、システムの刷新も身をもって体験する事ができました。
①DILO(ダイロ)
DILO(確かDay In the Life Ofの略)は1日の業務を部門ごとに時間の流れに沿って指示した業務手順書でした。これが入社してすぐに手元にあればよかったのにと思いますが、刻一刻と状況が変わる現場ではマニュアルがそぐわない場面も往々にしてありました。しかし、これまでは口伝えで伝わっていたものがきちんと形になり、冊子として見れるのは衝撃でした。
②リテイル・スタンダード
リテイル・スタンダードは業務水準評価の事です。主要な業務のやり方を分解し、実行方法を示し、さらにその実行力を評価するというマニュアルです。
後方倉庫の作業効率を高めるための「バックルーム・プロセス」という業務もこのリテイル・スタンダードの一部でした。倉庫のレイアウトのあるべき姿がどうなっていて、倉庫内のどこに何が置かれているか、常に一定で整理整頓されている状態を保つ仕組みです。
③ピープル・プランナー
これはイギリスの同じ親会社の傘下のスーパーから日本に輸入されて来たマニュアルで、売上高予算に対して発生する仕事量を時間帯別に予測し、各部門ごとに必要な作業人時を割り出す仕組みです。
まさか10数年後に自分がこのピープル・プランナーの考えに近い仕組みに本社で携わるなんてつゆ知らず。仕事量に対して投入人時が多い「ムダ」を省いたり、仕事量に対して少ない人時で働く「ムリ」を解消したり、日時や部門間による作業の「ムラ」を無くすという考えのものです。
業務マニュアルの重要性
書いていてふと気づいたのですが、これらは正社員だけが売場や後方を管理するのではなく、現場で働くひとりひとりが毎日実践する事が示されているもので、パートさん達でいかに効率よく運営していくか、親会社の究極のメソッドだったに違いありません。
この経験を通じて、業務マニュアルの重要性を改めて実感しました。どんな職位の人であろうと共通認識に立てる業務マニュアルがあることで、誰もが同じ基準で業務を進められ、効率的で、かつ効果的に仕事をする事が可能となります。
みなさんの職場にもこうしたパートさんにまで、具体的に実施する事が落ちている業務マニュアルが存在しますか?単純な作業をも分解し、誰もが徹底することで標準化を目指す。この辺りの考え方はさすがアメリカの企業なんだなと感嘆しました。
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