店舗に「タスク実行能力」は求めても「タスク管理能力」は求めるべきでない理由

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スケジュール帳がアプリに変わった時代

皆さんは、スケジュール帳をお使いですか?

昔は私も手帳にスケジュールを記入していましたが、最近ではもっぱらスマホの予定表アプリに全てのスケジュールを入れて管理しています。手帳の時代には、いざ持ち忘れた時のために頭の片隅のメモリーにスケジュールがある程度収まっていましたが、最近では頭の中は真っさら。完全にスマホ頼りです。とはいえ、スマホがなくてもクラウドで大体どこからでも参照できますからあまり困るような場面もありません。

結果、ダブルブッキングもなくなりましたし、会社の人には会社の、家族には家族の予定を共有しているので、予定をうっかり伝え忘れて怒られるようなこともほぼなくなりました。

「タスク管理」には高い総合スキルを要求する

さて次はタスク管理についてお聞きします。

本部・マネージャーの方は、店舗がどのように作業のスケジュールやタスク管理をされているかご存知でしょうか?
店舗にお勤めの方は、本部からの依頼事項をどうやってひとつひとつ管理していますか?
チェーンストア企業以外にお勤めの方は、部下や自分のタスク管理を考えてみてください。

もし、メールやグループウェアなどの平文からタスクを拾って、自らの力でしっかり100%管理できているとしたら、複合的なスキルを活かしていると思われます。『タスク管理能力』とひとことで言っても、そのスキルは多岐に渡ります。

メールやグループウェアの本文から指示を抜き出す「読解力」
ToDoを書き出してリスト化しておく「ToDo管理スキル」
店内の他のスタッフに共有して分担し、実行してもらうための「マンマネジメントスキル」「コミュニケーションスキル」
期限までに実行する「スケジュールマネジメントスキル」
などです。

いっぱいありますよね...。
これだけのスキルセットを持っている人材を常に1店舗1店舗しっかり配置しておくことって、かなり難しくないですか?
いや、もちろんそうした能力の高い人がいるというのは素晴らしいことですが、本当に店舗スタッフのスキルセットとしてそのまま要求して大丈夫ですか?しかも、こうしたタスク管理能力は一番の稼ぎ頭である中堅以上のスタッフに求められがちなため、無理に要求を強めてしまうと如実に売上や店舗全体のパフォーマンスに影響を与えかねません。

スケジュール帳がアプリとしてクラウド化され、頭にメモリーしなくて良くなったように、店舗からタスク管理能力のスキルセットの要求を少しでも取り払うことができたら、採用、教育、実行、管理などの複数の観点で、随分と店舗運営が楽になると思いませんか?

「タスク管理能力」と「タスク実行能力」は別モノ

タブレットやスマホに加え、クラウドによるデジタルの進化で、ToDoリストを本部と店舗でリアルタイム共有できるようになりました

適したツールを使い、本部がToDoとして最初から依頼すれば、メールやグループウェアの長文を読解する力も必要ないですし、わざわざメモに書き出しておく必要もありません。店舗ではそうした能力も労力も必要なくなります。
同じ店舗に所属するスタッフの間でタスクの一覧表が共有できますので、何ができていて何ができていないか見てすぐわかります。
本部側から期日指定順を確実に行い、タスクが期日順に並ぶようになっていれば店舗でスケジュールや優先度の管理を行う必要もありません。「期日までに実行する」ただそれだけです。

タスク管理に関する複合的なスキルセットを取り払う代わりに、本来発揮してほしい接客業務や店頭業務に集中することができ、店舗は成果を上げやすくなります。

弊社で店舗の実態として挙げている「本部から出しっぱなしの業務指示は店舗で40%しか実行されていない」という典型的な例は、タスク管理能力の無理な要求によって引き起こされます。よく一緒のものとして勘違いされがちですが、元来「タスク管理能力」と「タスク実行能力」は同一のものではありません。その証拠に、同じ店舗の同じメンバーでも、店番長が導入された後、ほとんどの店舗はタスク実行率が100%に到達します。店舗の実行能力は本来非常に高く、タスクのやりとりさえ適切であれば必ず遂行できます。

こうした新時代の管理手法を取り入れることは本部にとってもメリットがあります。
店舗ごとにタスクが終わったか終わっていないか、ということがクラウドで確認できるため、離れた店舗でもリモートで状況がモニタリングでき、改善指導や簡単に催促を行うことができます。
さらに、この繰り返しで蓄積されたデータを活用し、売上や利益、業務スピードの向上に生かすことができます。こうした改善は、店舗数xスタッフ数x365日x指示の数だけ繰り返し積み上がりますので、チリツモで捻出できる人件費や人時工数は計り知れません。

また、SVやエリアマネージャーの働き方も変わってきます。従来は店舗やスタッフへ臨店してアドバイスしていたことも、事前に確認しネットとリアルの双方でフォローできたり、より多くの店舗を一人のマネージャーでフォローできたり、といったことも可能となります。何より、タスク管理のやり方を修練して指導するより、接客スキルや売り場を充実する「実行スキル」の向上に時間を割ける方が何倍も売上に貢献します。

まとめ

店舗にタスク管理スキルは必須ではありません。煩雑な管理業務は店舗運営に適した専用の管理ツールに任せてしまって、やるべきこと=タスクの実行に集中しましょう!

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