チェーンストアにおける「催促」発生のメカニズム

流通・小売業界向けアンケート調査結果を公開中です

現在、市場調査レポート『多店舗運営を、本部が主導するコミュニケーション成功 6つのポイント』を公開中です。こちらよりダウンロードしてどなたでもご覧いただけます。

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このレポートは、昨年「新型コロナウイルス感染症の蔓延が及ぼす、本部-店舗間連携への影響や各企業の対策状況」についてアンケート調査をお願いし、全国のチェーンストアに勤務する89社の方から頂いた回答を集計したものです。
※対象企業は、店番長を未導入の企業です。

レポートに私の独自の分析を加えた動画もこちらからご覧いただけます。
オンデマンドセミナー『ストアオペレーションのDXを成功させる6つのポイント』

今回はこの中から、特に気になった「催促」の発生状況をピックアップしてお話ししたいと思います。

87%のチェーンストア企業で発生している「催促」を分析する

「店舗から本部への提出物が集まらない場合、催促の連絡を行っていますか?」の問いに、
催促がよく発生する 6%、定期的に発生 30%、すこし発生 51%、発生しない 13%との回答をいただきました。

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36%の企業で慢性的に提出物への催促が発生し、すこし発生も合わせると87%の企業で催促が発生しています。

「催促」の対処法を現場の方にお聞きすると、本部から1店舗1店舗へ電話連絡などで確認しているとのお話でした。(そうでない企業もあるかもしれませんが)電子的な手段で一斉に連絡して提出されないわけですから、双方向の手段である電話に頼る、というのは至極当然のことであり、皆さん似たような状況なのではないかと思います。
しかし、これは悲しいことにとても非生産的な作業と言えます。本部の方は店舗の数だけ同じことを何度も何度も繰り返し連絡しなくてはなりません。店舗でも現場業務の合間に本部からの連絡に答えなくてはなりません。メンタル面で本部の方、店舗の方どちらにも気分の良いものではないと思われます。

ではここで根本的に、催促がなぜ発生してしまうのかを掘り下げて考えたいと思います。

1. 単純に店舗で忘れてしまい、抜け漏れが起きるケース

おそらくこれが一番多いのではないかと思います。
そしてこの"抜け漏れ"への対策が最も重要です。なぜなら、この問題は仕組みで100%なくせるからです。

本当にうっかりということもあるかもしれませんが、抜け漏れが起きるメカニズムの多くは次に挙げる問題の複合要因です。

まず、連絡そのものが埋もれやすく探しづらい問題です。
もし貴社が「メールやチャットでToDoの連絡も一緒に流している」という状況であれば間違いなくこれが原因です。また、連絡そのものの数が多い場合にも起こります。CC文化(関係する情報を全て共有)で、その店舗が対応しなくてはならないToDo以外の情報が大量に届いている状況が該当します。

加えて、いつが締め切りかわからなくなってしまう問題です。連絡が届くタイミングと提出締め切りは別なため、通常の連絡ツールでは優先度の時系列に並べることができません。

そしてこれらの問題に対処するためには、店舗の誰かが「いつまでに提出物を出すべき」という連絡を待避しておく必要があります。すぐに対応できない場合は、紙やメモアプリに転記しておかなくてはなりません。
埋もれ対策のために本部からの連絡には【重要】【○/○までに提出】とタイトルを付け、工夫されているかもしれませんが、本部の部門が複数ありルールもなかなか徹底されません。ひどいケースになると本部の連絡が一部何をすべきか鮮明ではない場合もあり、こうした連絡は問い合わせが面倒で後回しになります。追加で修正や補足が入れば全店がそれも追いかける必要が生じます。店舗で複数のスタッフが指示に対応している場合には管理も手間となり、どこまで対応したかがよくわからなくなったりします。
これらが抜け漏れが発生しやすくなる主な要因です。

そのため、上手に情報を仕分けられる能力のある店舗とそうでない店舗によって対応に差が出てしまう状況が発生します。これが次のケースにもつながってきます。

2. 特定の店舗でいつも催促が発生するケース

1割を超える店舗でこのような状況が続くのであれば、スタッフのスキルではなく、前述の通り仕組みに問題があると考えた方が良いと思われます。しかもこれは深刻な問題の氷山の一角かもしれません。ベテランのスタッフが情報への対応に振り回されてしまっていると業績に影響が出てしまいます。

なお、ほんの一部の店舗で慢性的な催促や報告漏れが起きる場合は、店長や責任者に依存していることが多いです。店長が別な店舗に移動すればまた同じことが起こります。これは個人への指導の問題となります。

3. 店舗が忙しく、慢性的に対応できないケース

このケースは本部からの指示の量や店舗のオペレーションを見直す必要があると思います。

誰のためにもならない「催促」は撲滅が大原則

チェーンストアで凡事徹底を謳う経営者の方は多いと思います。
「催促が慢性化する」状態は、凡事徹底のために余計な労力がかかっている状態だと言えますので、これは良い状態とは言えません。やはり催促の原因自体を撲滅してしまうことが望ましいと思われます。

催促の主な原因となる「抜け漏れ」への対処法は次の3つです。

  1. 店舗への業務指示(ToDo)が埋もれないように管理されていること
  2. 本部と店舗の間で業務指示の締め切りや優先度がお互いしっかりと共有できること
  3. 各店舗の対応状況を定量データとして見える化し、状況に応じてすぐに対策を取れるようにしておくこと

なお、店番長には上記に挙げた抜け漏れへの対策が全て施されており、導入し活用していけば無理なく催促が撲滅できるため多くのチェーンストアに支持される理由の一つとなっています。

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