本格化したVUCA時代に求められる店舗運営体制とは?

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VUCAとは

VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語です。
元々は軍事用語ですが、2016年のダボス会議(世界経済フォーラム)をきっかけとしてビジネス界に広まった言葉と言われています。
企業を取り巻く市場環境が不安定で不確実、かつ複雑で曖昧な混沌とした状況であるということを指します。

今はまさにVUCA時代

新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから1年半以上が過ぎましたが、世界がこのような状態になることを予め想像できた人がどれだけいるでしょうか?
今はまさにVUCA時代に本格的に突入したと言えそうです。

VUCA時代の特徴の一つが、これまでの経験が役に立ちづらいということです。
前提とするビジネス環境が大きく変化しており、予測が困難なため、予め対策を打つことが難しいのがVUCA時代の難しさです。

VUCA時代に求められる意思決定の手法

では、チェーンストアはこの時代をどう生き抜けばよいのでしょうか?
先日、某菓子チェーンの社長からこのようなお話を聞きました。

「今はどのような商品が売れるか、どのようなキャンペーンが当たるかの予想が非常に難しくなっている。
そのため、我が社では試行錯誤を頻繁に行うことを重要視している。
我が社では、キャンペーンを始めたら、本部では初日からその効果測定を始める。
効果が予想以上であれば、すぐに予定を変更しキャンペーン期間を延長するが、効果がいまいちであれば、予定よりも前倒ししてキャンペーンを終了し次の手を打つ。
どのような手を打てばよいかわからないからこそ、試行錯誤を行う回数を増やし、有効な手段が見つかる確率を上げている。」

この社長のお話はまさに、VUCA時代に必要な意思決定方法として注目される「OODAループ」の実践といえます。

OODAをチェーンストア運営に活かす

OODAとは、「観察する(Observe)」「状況を理解する(Orient)」「決める(Decide)」「動く(Act)」の頭文字をとった言葉です。
社長のお話をOODAに対応付けて見てみましょう。

観察する(Observe):キャンペーン初日から市場や顧客など外部環境をよく観察し、データを収集している。
状況を理解する(Orient):集めたデータを基に、今何が起きているのかを把握・理解している。
決める(Decide):理解した状況に対して、キャンペーンの延長や早期終了といった具体的な方針やアクションプランに落とし込んでいる。
動く(Act):プランを基に、スピーディーに実行に移している。

社長が話してくださった取り組みの良い点は、目まぐるしく変化する外部環境に即座に対応できるよう、スピーディーな意思決定を促しているところだといえるでしょう。
何が起こるか予測困難なVUCA時代には、すべてを計画通りに行うことは難しく、現場の状況をもとに、柔軟に対応していくことが求められます。

業務改善の手法として、一般に「PDCA(計画、実行、評価、改善)」が浸透していますが、PDCAでは「計画」をしっかり立てるところから始めなければならないため、どうしても時間がかかり、外部環境の変化への対応が後手に回るというリスクを抱えています。
それに対して、OODAでは「観察」から始まるため、現場起点であり、スピーディーな意思決定が促されるところが大きく異なる点です。

社長は、本部からの指示を店舗で実行し、その結果から学ぶ回数を重要視しているため、指示は確実かつ迅速に店舗で実行されなければ意味がないということも仰っていました。
もし、指示の実行度が低い、完了までに時間がかかるというチェーン企業様がいましたら、この課題の解決がVUCA時代を生き抜く処方箋となるかもしれません。

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