モチベーションとFPM(フロア・プロモーション・マップ)

モチベーションとは?

ハロウィンの季節が近づいてきました。

小売業において、季節のイベントは売上を伸ばし、顧客の興味を引きつける重要な要素となっています。特にハロウィンやイースターといったイベントは、近年ますます盛り上がっており、小売業界やメーカーはこれらのイベントを有効に活用するために力を入れています。私の前職ではこうした季節イベントを「モチベーション」と呼んでおりました。これから年末年始にかけて大小のモチベーションが次々とあるため、売場では綿密な計画をしなければいけません。本部からモチベーションに関する指示書が発信され、それを見ながら自店の計画を詰めていきます。

FPM(フロア・プロモーション・マップ)

この計画をする時に欠かせないのが売場の地図、FPM(フロア・プロモーション・マップ)です。このFPMは企業により呼び名が違っており一般的には「エンド図」とも呼ばれます。個人的にはエンド以外の特設売場や、ワゴン販売など突き出し陳列をしている商品も把握しなければ意味をなさないため、エンド図では足りず、売場全体を把握できるFPMがベストであると思っています。

どの場所に何を、いくらで、いくつ積むか、棚割りはどうするか?私はここに値入率や週ごとの売上(週販数)も記入していました。

当然ながら、モチベーションの商品は目立つ位置で拡販する必要があります。その際の流れをご紹介すると、売場のマネジャーはFPM上で1番エンドの商品をこの時期最も売れるモチベーションの商品に差し替えるという内容を記入します。

次に、もともと1番エンドに積んでいた商品を売場のどこに逃がすか?が問題になります。主通路に面していない中エンドに在庫処分として振るのか、見切ってしまって価格を下げて売り払うのか、いちばん最悪なのは、売場に出す場所が無いため倉庫に下げるということです。

在庫となってしまい売場撤去から、倉庫での保管といった運搬のムダや在庫のムダが発生してしまいます。そのまま日の目を浴びず...といった光景も珍しくありません。こうして売場全体の変更箇所をひと通り落とし込むとFPMが完成します。後は計画したFPM通りの売場を作って完成です。

しかし、この一連の売場変更は一緒に働くパートさんやアルバイトの皆さんがひと目で見てわかるようなFPMになっていないと、全ての作業にマネジャーが付き添い、口頭で指示を出さないと思い通りの売場にはなりません。そして、そこにはいろんなムダが潜んでいます。

7つのムダ

ムダに関する話だと「7つのムダ」と言う言葉があります。

1.加工のムダ
2.在庫のムダ
3.造りすぎのムダ
4.手待ちのムダ
5.動作のムダ
6.運搬のムダ
7.不良、手直しのムダ

製造業でよく使われる言葉だそうですが、これは小売業でも当てはまります。ムダを省いて効率よく、現状のメンバーで成果を最大化する。そのためには的確な本部の指示が重要で、次に店舗で売上や利益を最大化させるための商品陳列をする。それを実現するために店舗の社員、パートさんやアルバイトのみなさんが指示に従って実行していき、初めてモチベーションの売場やあるべき売場が完成します。

FPMはムダを減らし、売場の計画を最適化するための重要な要素です。本部からの的確な指示と店舗内での適切な実行により、モチベーションの売場を完成させることができます。そして、FPMを使って、誰が見てもわかりやすい売場の配置を実現・実行することが何よりも大切です。

最後に、みなさんの職場ではFPMが適切に更新され、誰もが見える場所に掲出・共有されているでしょうか?定められたフォーマットがある場合も、手書きで作成する場合もありますが、どちらの方法でも目的は同じです。ムダを排除し、効率的に季節のイベントを成功させるためにもぜひFPMとも呼ばれるエンド図、売場の地図を活用して売場全体を効率よく管理してみてはいかがでしょうか。

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