新店開店の舞台裏:経験から得た教訓とタスク管理の難しさ

私は前職時代に幸運にも新規開店を2回経験しました。新店開店のペースが年に1~2店舗くらいの会社だったので、そんなに誰もが経験できる仕事ではなかったため、最初は単純に開店に携われることに喜びを感じていました。しかし、現実はそう甘くなく、当然ながら重責ですし、真っ新からの立ち上げの難しさにたびたび直面してしまいました。

1回目の新店立ち上げ

1回目の新店は2007年、私が売場の係長になりたてほやほやの頃です。静岡の浜松に社運を賭けたスーパーセンターを開業するということで、選りすぐりの精鋭が全国から集められました。そこに私もデイリー食品売場の係長として開店準備室から着任しました。その時点で開店の4ヶ月くらい前だったと記憶しています。

市場調査の毎日。採用が進んで来たらトレーニングの日々です。実戦を積ませないと、と考えて試行錯誤しますが、なかなかこれが難しい。振り返るともっと日々の業務に落として教育店舗の皆さんに教育して欲しい内容をお願いしておくべきでした。具体的には値下げ処理や廃棄といった必ず実施しないといけない作業です。

お店の中の什器建て込みも自分たちで実施しました。運動場より広いガランとしたフロアに什器をどんどん組み立てて設置していきます。この作業も遅れが生じたりとスケジュールのコントロールが難しかったです。でもこの作業を経て自分たちのお店なんだという愛着と言いますか、思いがより強くなりました。普通ではできない経験です。

開店前の発注。これは私しかできない仕事なので開店日から3日間の発注数量を客数予測から決め打ちしてシステムに入力するのですが、全商品なので...当然ながら締め時間との戦いです。この作業は今でも夢に見るほどエキサイティングでした。

開店後は通常のオペレーションになかなか戻せず、見切り作業や廃棄作業、ロスと品切れとの戦いの毎日。右を見ても左を見ても動けない新人のパートさんたちに指示を出し、自分も怒涛のような作業に忙殺されていきました。ここでの反省はやはり通常業務をトレーニング時に叩き込み、開店時からスケジュールに乗せてタスク管理する部分が弱かったことです。

2回目の新店立ち上げ

2回目の新店は2016年、本社の運営改革グループにいた私にいきなり新店の店長の内示が出ました。
本当は1回目の経験で辛酸を舐めたので懲り懲り...でしたが、自分自身の反省を活かし、もう1度戦おうと奮起します。

係長としての新店経験と店長としての新店経験は全然違いました。新店の店長ってこんなにタスクがあるの?かと。しかもそれが体系化されていないという事も弱点でした。過去の経験者を頼るしか無く、私は元上司に新店の店長として何を押さえなくてはならないか?を全て伝授してもらい、資料として残す事にしました。

官公庁の対応(市役所・警察・消防・保健所)、自治会の対応、採用活動(時給も決定)、売場について、客数予測、売上予算、人件費、運営本部内の報告、未取得資格の取得、参考になる競合他社の店舗をひたすら訪問、チラシ計画、販促...など。

開店前の各部署とのミーティングで進捗は管理するものの、一元化されていない印象だったので確認事項がもの凄く多くタスクに埋もれてしまい、毎日疲れ果てていました。

漏れは無いか?今週中にどこまで実施が必要か?部下の仕事の進捗は?出来栄えは?この経験で生きたのは常に最悪を想定して動くということでした。1手先ではなく2手、3手先を読んで動かないといけなく、情報や指示が電話やメールで飛び交うので部下を含めて確認漏れが発生しました。

教訓とタスク管理の難しさ

この2回の経験で感じたのは総じて開店という特殊なイベントに対してのオペレーションのフローに課題があるという事。新店の店長の実施するべきタスクが明確でない事です。仕組みでカバーできる部分なので改善する事ができますが、タスクに埋もれてしまい漏れが発生する、優先順位がわからなくなるといった問題はなかなかクリアする事ができません。

この新店の開店時に店番長を知っていればTo Doが明確で期限順に並んでくれ、タスク管理に使えて私は非常に助かっただろうなと心から思っています。

みなさんのお店や施設はタスクに埋もれてしまっていませんか?

FAXをやめてすごく得した話

前へ

株式会社ピーアップ様「店番長」導入事例追加のお知らせ

次へ

今年のリテールテックについて