チェーンストアを取り巻く環境(4)

本部からの業務指示に対する店舗の実行力を上げるには、本部から店舗への一方的な情報通達だけではなく、店舗から本部への報告が大事であります。

これは、1対1のコミュニケーションに置き換えて考えて見ましょう。

まずは、1人が一方的に話をしており、もう1人は、黙って聞いているという関係です。
次は、互いに相手の反応を確認しながら話(会話)をしている関係です。

「相手に意図した行動を取って貰う」ことが、コミュニケーションの定義であるなら、間違いなく後者の方が優れた関係だと思います。

もし、前者の方効率が良いという方がおられたとしたら、それは事前に話し手と聞き手との間でベースとなる良好な関係ができている可能性があります。本部店舗で言うなら、本部の人が店舗の事(事情)を非常に熟知しており、店舗スタッフも長年の経験で本部の事情を把握しているためだと思います。 しかし、昨今では店舗のスタッフの入れ替えが頻繁に行われ、また、必ずしも店舗業務を熟知している人が本部社員とは限りませんので、決して多くのチェーンストア様には当てはまらないと思います。

そこで、後者の様な関係が必要で、本部店舗間であれば、一方通行の伝達手段だけではなく、双方向の伝達手段が必要になります。

また、人における1対1の会話(face to face)とは違い、チェーンストアでは、本部と店舗とが非常に離れておりface to faceのコミュニケーションはできませんので何らかの仕組みが必要です。また、実際問題としてチェーンストアでは「1対多」のコミュニケーションが求められますので、更に複雑化してきます。

補足しますと、双方向のコミュニケーションであれば、メールでもできますが、「1対多」になると結構大変なことになります。例えば、店舗に簡単な在庫状況を報告するように伝えたとします。その時、本部としては、どの店舗 からの報告が完了しているのか、未報告店舗はどこだとか確認し、更にそれぞれの在庫をExcelなどに書き写すなどの作業が必要になります。メールでは非常に効率が悪く、実際、お会いした企業様では、この作業がめんどくさいので、チェックが徹底されていないと言われていました。

この様に、チェーンストア様を取り巻く環境においては、実行力の妨げとなっている要因が多く存在します。
まとめますと、実行力を上げるには、下記の点を改善する必要があります。

  1. 本部店舗間における双方向の情報手段が必要
  2. 本部店舗間に物理的な距離があるためface to faceのコミュニケーションに代わる仕組みが必要
  3. 1対多のコミュニケーションでも質を落とさない仕組みが必要

次回は、店舗を直接指導、支援するマネージャの役割と実行力アップとの関係について記してみたいと思います。

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