成熟度を実行力の量と質で考える

本部からの業務指示を多くこなす店舗と、そうでない店舗では、どちらの方が成熟度が高いのでしょうか?
直感的には、多くこなす店舗の方が成熟度は高いと思われますが、実行力のもつ「量」と「質」という視点で考えて見たいと思います。

「量」とは、本部から店舗へ出される業務指示の数(実行量)、「質」とは、その業務指示をどれだけ実行したかという割合(実行率)です。

例えば、一日に30件の業務指示を店舗に出し実行力が40%程度の企業A社と、一日に5件しか業務指示を出さないが実行力率が100%の企業Bではどちらが優秀なのでしょうか?

実際に実行された業務指示の件数で比較すると、30件×40%でA社は12件。B社は、5件×100%で5件となりますので、A社の方が優秀だと考えられます。
確かに、1店舗だけであればA社の方が優れていると言えますが、店舗数が多くなった場合も、同じように考えて良いものなのでしょうか?

多店舗展開のメリットはブランド化にあり、あの名前のお店に行けば安心してものが買えると認知されるかが成功のポイントだと思います。
しかし、40%程度しか実行力が無いと言う事は、店舗毎の実行力にかなりのバラツキがあるということです。

そう考えるとどうでしょうか?

接客の悪い店舗に入ったお客様は、このブランドの店舗は接客が悪いという印象がインプットされてしまいますので、例えば接客が良い同じブランドのお店を見ても入ろうとはしません。
かたやB社の場合は、5件の業務指示に対しては100%実行されているわけですので、どのお店に入ってもその点においては、同じ品質を保っており、お客様の期待を裏切ることは無いのです。
この様に考えると、B社の方が良い企業と言えます。

以上から考えると、実行力の「量」と「質」という切り口が大事であり、店舗が100%実行できる量を見極め、それ以上の業務指示をこなすためには、業務の仕組みを変えて行くというのが理想です。
例えば、棚卸業務は非常に時間と手間がかかるものですが、バーコードやQRコードを利用したシステムに変更することで効率化を図れば、他の業務指示をこなす余裕が生まれます。

この様に、実行力の「量」と「質」という視点で、本部店舗間が協力しながら一歩一歩改善を続けていくことが成熟度を高めるコツなのではないでしょうか。

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