組織運営を考える

アメフトの凶悪タックルの問題から大学のガバナンスにまで発展した日大の問題は、上意下達による専制君主的な組織運営が現代社会に通用しないことを如実に物語っているように思えます。教職員組合からもノーを突き付けられた形の日大執行部は抜本的な組織運営を、より民主化したものへと変換することを余儀なくされるでしょう。さもなければ教職員を失うばかりか、受験生も激減せざるをえないからです。

ちょっと話がスケールアップしますが。。。国家の運営方式はもっとも強圧的な専制君主制からもっとも民主的である直接民主制の間にいくつものバリエーションがあります。日本や多くの先進国が採用している議会制民主主義は何千年という人類の試行錯誤を経てようやく落ち着いた感のあるひとつの英知であると思います。およそ1000年続いたローマ帝国も一人のリーダーが政治を行う帝政へ移行する前は、元老院が力を持ちより民主的な政治手法をとっていました。

ローマ時代は体制変換の見本です。共和制時代、平時は民主的に選出された二人の執政官がお互いにけん制しあって政治を進めるという特殊な形ではありましたが、民意をくんで政治を行うという意味では優れたもので、ローマという国家を1000年にもわたって存続させた礎ともいえる体制です。戦時はより意思決定を速めるために独裁官という一人のもと、専制性を高め国家が一体となって効率よく運営されるというバランス感覚の優れた体制でした。

この共和体制が帝政に移行した大きな理由は、ローマが大きくなりすぎ周辺民族との軋轢が絶え間なく続くことで、常に戦時のような状況に陥ったことにあります。戦時は即断即決が求められ民主制は適さないからです。ローマは人類の英知のたまものとしていくつかの政治体制のモデルを現代社会に提示してくれています。さて、このような観点から日大の問題を見てみるとやはり戦時つまりは緊急時でもない状況下で独裁体制を敷くことは組織運営として明らかにおかしなことと思えます。

将来の展望が見えづらい現代において、多少効率は犠牲にしても衆知を集めて方向性を出していくことが必要だと思います。一人の人間の頭脳だけで決定できるほど現代社会の複雑性はあまくないからです。会社の経営もこれに近いものが今後の主流となると感じています。と、ここまで書いて。。。民主政治のお手本のようなアメリカで専制君主的でさえあるトランプ大統領が、明らかに長期的には自国の利益を損なうような利己的(アメリカファースト)な対外政策を押し進めている事実はなんなんでしょうか?やはり、当時もっとも民主的と言われたワイマール憲法のもとヒットラーが生まれた民主政治のジレンマなのでしょか。

また、逆にリヒテンシュタインやルクセンブルクといった君主国家は国民の圧倒的な支持を得ながら専制的な国家の意思決定を行い、きわめて効率的に豊かな国家を実現している事実もあります。ある程度の大きさまではこのような効率重視の体制もありなのでしょうね。とはいえ、リヒテンシュタインは憲法に国民投票により専制君主制を民主制に移行できることが明記されており、安全弁もあるということです。

さて、話が脱線してしまいましたがより身近な組織運営にもどしましょう。大学という組織も会社という組織も人間の集合体である以上、国家の運営方式につまりは歴史に学べることが多いと常日頃感じています。目指すべきは、その組織の構成員の幸せを大前提に、社会と調和して経営していくリーダーが継続して生まれる風土と仕組みを持った組織なんだろうと思います。

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