「実行力」を店舗の評価基準として適切に活かす方法

ITの進化により、店舗の「実行力」を定量化・可視化できるようになりました。
「実行力」を新しい指標としてうまく活かせるかどうかは、経営者及び責任者の方の評価の仕方一つで変わってきます。

本記事では、チェーンストア経営における実行力の位置付けと上手な扱い方について深掘りしてみたいと思います。

※まえおき...本来であれば、定量化した数値を「実行率」、実際に実行できる現場対応力を「実行力」と区別して呼ぶのが適切かと思いますが、逐一切り替えるとかえってややこしくなるため、以降は「実行力」に統一して表現します。なお、弊社の店番長は、現在チェーンストアの実行力を最も深く洞察し分析できるツールです。

「実行力」は店舗の評価基準として適切か

仮に本部が実行による評価を行わず店舗に責任を委ねてしまうと、それぞれの店舗で優先度の判断に余地が発生してしまい、実行状況にムラが生じます。まだ店舗の裁量と言っているうちは良い方で、本部は指示を投げっぱなし、店舗のスタッフは「やってもやらなくても同じ」だと考えてしまうようになると最悪です。その対策でエリアマネージャーやSVさんが臨店してチェックして...となり、対策が終始後手に回ります。

実行力の向上に取り組むことは、製造業における品質向上の取り組みと似ているかもしれません。5M(無駄、無理、ムラ、漏れ、ミス)により品質事故が起こるメカニズムそのものを見直し、改善していく一連の取り組みであって、特定の人を吊し上げる仕組みではないところがポイントです。
したがって、実行度合いを適切に評価することは、本部の戦略を現場である店舗で実行して形にすることを目指しつつ、業績向上や業務効率化による生産性向上を阻害する要因を退治する為に不可欠な要素だと言えます。

店舗スタッフの心境にとっても良い影響があり、日々実行できていることを適切に評価されることで「ちゃんと本部が見てくれている」と本部とのつながりを感じることができます。

ちょっと違った視点で、時々「実行云々で管理するのは店舗が自立できておらず上から目線のように感じる」とおっしゃる方がいるのですが、決してそんなことはありません。

むしろ店舗の自立を重視するあまり「スーパーマン人材のいる店舗は良いが、人が変わるとガクンと下がる」といった課題が発生することがあります。これは、本部が店舗側に実行力だけでなくタスク管理力や企画力など、複数の能力を求めている状態です。こうなると如実に店長など「人」への依存度が上がります。企画の立案は本部が担当し、タスク管理はツールに任せてしまうことで、実行力に長けたスタッフが現場業務にフォーカスできるようになり、その企業の強みを面で押し出しやすくなります。(この課題に関してはこちらの記事↗︎に詳しく記載しておりますのでよろしければご参考ください。)

少し脱線してしまいましたが、「実行に注力し、足並みを揃え、やるべきことに集中してもらう」という観点で「実行力」は店舗の評価基準としてふさわしいと言えます。

モチベーションが上がる「実行力」の活かし方

さて、実行力を可視化する意義についてご理解いただいたとして、では今度はそれを「どう活かしていくか」を考えてみましょう。

例えば、典型的なパワハラ表現ですが、
「なんだ言ったこともできていないのかダメじゃないか」
と言われると厳しいですよね... 正直モチベーションも下がります。
一般的に、評価体系をはっきりしないまま、結果だけを見てダメ出しをされる、というのは最悪です。

そこまでストレートな言い方でなかったとしても、
「今月の実行力は100%達成できていなかったのでマイナスです」
と減点方式で言われてしまうのもちょっと嬉しくはないと思います。

では、前もって、
「100%実行できた店舗は評価を加点します」
と目標設定しておいたらどうでしょうか?

結果からネチネチ言われるのに比べ、これから目指すことなので受け入れやすく、加点方式の表現の場合はプラス思考が働きやすいです。「次、がんばろう!」と思えることがまずは大事です。
また、これと同じことを店舗内でも実施できたら良いと思います。「担当部門ごとに全部実行できたら月初の朝礼で拍手!」など。

さらに過去の実行状況を分析データで渡し、店舗自ら対策を施してくれるよう促せたら素晴らしいと思います。
そのためにも、まずは運用をしばらく回してみて、蓄積したデータを店長が自ら確認し、うまくいかなかったことを振り返ったり、「何が」良くないかを追求できるようになれば上司やエリアマネージャーさんなどとも具体的な相談がしやすくなります。

ただ、それ以上に大事なことがあります。本部がちゃんと実行状況のデータを分析していることです。

前述のような5Mの発生源は店舗にだけ存在するわけではありません。そもそも実行するのが無理な業務指示の量であったり、実行する際に解読困難な指示の記載があったり、本部側に実行力低下を招く要因があることも少なくありません。
「実行力を上げる」ということは、店舗に実行してもらう責任を本部も負う、ということになります。
つまり、店舗に対してダメな点を改善させる、のではなくて「店舗と一緒に実行力アップに取り組む」という姿勢が大事なのです。

ここまで書くとちょっと荷が重く感じてしまうかもしれませんが、これが本部と店舗の関係として本来あるべき姿ですので、ひとまず状況に正面から向き合って着々と改善を進めましょう!というのが我々の心からの言葉です。
弊社ではこうした取り組みへの経験が数多く蓄積されています。お悩みをお持ちの責任者様や上記のような考えにご賛同いただける方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社へご相談ください。一丸となって最大の支援をさせていただきます。

蛇足ではございますが、ご連絡先はこちらまでお気軽に。≫リンコムへのお問い合わせ

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