技術革新のスピードアップ

現在ネットで通信を行うさい、公開鍵暗号方式という技術を使って安全性を高めていることはご存知だと思います。この技術は大きな素数同士の掛け算で得られる数値が用いられているのですが、この数値を逆に素因数分解するのにスーパーコンピュータを使っても何十億年もかかり、事実上解読不可能とされてきました。 しかし、量子コンピュータの超並列計算を用いると瞬時に因数分解できることが以前から指摘されていました。

ここ数年の量子コンピュータの発展は驚くべきもので、公開鍵暗号方式も風前のともしびかと危惧していたところ、先日、公開鍵暗号方式の問題点を改良し量子コンピュータでも解読不可能な技術が情報通信研究機構により開発されたと報道がありました。ビットコインなども公開鍵暗号方式を用いて安全性を担保しているので、このまま量子コンピュータが汎用化したら、世の中どうなることかと内心危惧していたのが杞憂に終わりそうです。

暗号化技術の進化同様、量子コンピュータの実用化のスピードは予想をはるかに上回っています。同じように、アルファ碁によって数年前にあと20年かかるといわれていた囲碁におけるコンピュータの対トッププロ勝利もあっというまに達成され、異次元の世界へと人間を抜き去ってしまいました。そういえば、20年前リンコムを起業したころ、「IPアドレスなどすぐに枯渇するので、インターネットの世界で起業するのはリスキーだ。」と諭されたのを思い出しました。

この問題もほとんど話題にも上らずに新技術で対応され、合わせて危惧されていた帯域の問題もいまではハイスピードなネット回線の実現で動画も問題なく視聴できています。これらから導き出される結論としては、すべてではないにしろ、多くの技術的な課題は予想を上回るスピードで解決されるという事実です。世の中の変化が経営にプラスにもマイナスにも作用する以上、技術革新のスピードは予想を上回るものだと信じて舵取りをするほうが安全だと思います。

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