多様な世界を俯瞰する力

トヨタの取締役会に理論物理学者が呼ばれて重力理論について解説したという話を聞いたことがあります。このことにさすがトヨタと唸りました。

10年ほど前から技術革新の幾何級数的スピードアップに対して経営者として会社をどのように対応させていったらよいかという命題が私の最重要なテーマとなっています。最先端の要素技術がめまぐるしく変化していくなか、企業が提供する製品やサービスの陳腐化を防ぐ手立てとして多様な要素技術に対して深く理解している社員を企業内に育てることは大企業以外不可能に近くなっています。

各要素技術を関連付ける力、社会の変化を捉えて、必要な製品やサービスは何なのか、それはどのような方向へ変化していくのかを洞察する力、いわゆる俯瞰力が企業の次の10年20年を左右する時代に突入しました。要素技術は製品やサービスを構成する上で重要なことに違いはありませんが、深堀のできる各要素技術の専門部隊は、専門会社として外を利用すればよく、何も自前ですべて用意しなくても良いのではないかという、いわゆるオープンイノベーションの方向はますます強まると思います。

ですから、社会の動きと技術動向を俯瞰できる人材の育成がとても重要になってくると考えています。それにしてもトヨタ。。。理論物理学者を講師にまねいて重力理論の勉強とは。彼らの視点はいったいどのくらい高いのか。まさか、自動車の未来の姿として、反重力エンジンを搭載したスターウォーズにでるような乗り物を考えているのでしょうか?

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