稟議申請の無駄な時間は、会社に莫大な機会損失を与えている #2

前回に続き今回は、申請承認行為をどの様に効率化(スピードアップ)して行くかについて考えて行きたいと思います。

それには、まず自社の申請承認における効率化の状態を分析する必要があります。例えば、申請承認行為が一拠点(本社内)で済んでいる場合と、全国の営業所や支店などから本社へ上がってくる場合とでは移動時間の大きさが異なり、同じ申請方法を取っていたとしても会社毎に無駄の状況は異なります。また、旧来通り紙ベースによる申請を行っている会社と、電子化(メール、ワークフローなど)されている場合とでは、おかれている状況が違い、今後の効率化の方法も違ってきます。

この様に現在おかれている状況を分析し、何処まで効率化を進めるのか。そしてその効果としてどの様なメリットがあるかを検討し、効率化に受けてどの様な方法を採用するかを見極める必要があります。つまり、会社の置かれている状態により効率化の方法も違ってきます。

さて、前置きはこの程度にして実際に申請承認行為における効率化をはかる上でどの様なアイデアがあるか考えてみたいと思います。

まず、アイデアをざっと上げてみると下記の様なものが上げられるかと思います。

1.現在行っている申請承認のやり方をシステム化する
2.現在の申請経路を見直しする
3.現在の承認ルールを見直しする
4.システムを拡張する

1の「現在行っている申請承認のやり方をシステム化する」は、ワークフローシステムなどにより、移動時間を大幅に短縮することが期待できます。特に、離れた拠点からの申請が多い企業には、絶大な効果をあげることが出来ます。

2の「現在の申請経路を見直しする」は、承認経路を短縮するということですが、多くの企業で必要以上の承認経路を設定されているのでは無いでしょうか?例えば、住所変更の申請などは、総務部が把握していれば良いものなのですが、一度直属の上司の承認を経ていることもあるのでは無いでしょうか?直属の上司にしてみてもこれに、「却下」を下すことはまず無いと思われます。この様な場合、直属の上司による承認は不要なものであり、省いても支障が無いと思います。一度、過去の申請承認状況を確認し、一度も「却下」されるような事が無いものに対しては、思い切って承認者から外してみるもの手かと思われます。

3の「現在の承認ルールを見直しする」とは、例えば部長などが承認しなくとも最終承認者である社長が承認すれば、それまでの承認者の承認が不要(承認したものと見なす)という様なルールを設けると言ったものです。この他にも、例えば同じ承認段階に複数人の承認者がいる場合、全員の承認が行われなくともその中の1人が承認すれば、その段階では全員が承認したことにするなどと言ったものです。

以上を行えばかなりの効率化は達成出来るものと思われますが、申請承認のフローを更に広くとらえて見ると更に大きな効率化を計ることが出来ます。これが、4の「システムを拡張する」で、例えば、支払い申請などの場合、承認されたデータを元に、経理の方が仕分けを行い経理システムに仕分け情報を登録したり、銀行に支払い手続きを行うなどという業務がありますが、この部分をワークフローの決裁がおりた後に自動でシステム化してあげるのです。実際、先日のセミナーでビック東海様からワークフローの導入による経費支払いの申請だけで月に、750時間(支払い申請による小口現金出金業務、仕訳伝票起票業務のみ)の節約がされたという報告がありました。

今回は4つのアイデアを紹介させて頂きましたが、大事なことは自社の置かれている状況において、何をすることが一番大切かを見極めることが重要ではないでしょうか。

(この記事は、過去に配信されたリンコム通信のバックナンバーです)

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