数学と宇宙の関係

驚くべき本に出会ってしまいました。その興奮を抑えきれずにちょっと題目として違和感があるかもしれませんがお許しください。

趣味で宇宙物理学の世界を長年にわたって傍観してきました。138億年前に原子より小さな点から急速に膨張して始まったといわれるこの宇宙。そう、ビッグバンですね。その前はどうだったのか?膨張の前は時間は存在したのか?最後はどうなるのか?時間はなぜ前にしか進まないのか?根源的な疑問に魅了されたまま解決を見ずにいつしか50年経ってしまいました。

多くの物理学者や数学者たちの努力の甲斐があっていくつかの究極的な理論が候補にあがってきています。超弦理論(スーパーストリング理論)などもその一つです。あらゆる物質を構成している素粒子(電子や光の粒など)は振動する弦だという不思議な理論です。何年か前にノーベル賞を受賞した南部さんが最初に提唱した理論です。数々の未解決問題に対する答えが出るかもしれないと期待されています。

超弦理論に限らず、あらゆる物理法則は数学という道具を用いて記述されます。例えばものを放り投げた時に描く軌跡はY=Xの二乗といういわゆる放物線です。数学はあくまでも宇宙を記述する道具であるわけです。物理現象に限らずあらゆる現象は数学モデルで表現されます。人口推移予測や経済予測などです。これはギリシャ時代から今まで綿々と続いた文明の根底をなす常識だったわけです。

ところが。。。マックス・テグマークという天才宇宙物理学者が提唱した「数学的な宇宙」によれば、物理学と数学の関係はまったく逆だというのです。宇宙は数学的な構造を単に具現化しているだけであり、ここに宇宙が存在するのはまずは数学があるからだとしています。まったく驚きです。確かに超弦理論も優美な数学的対象性という特性を示しており、数学と物理学の関連性で長年不思議に思っていました。

この「数学的な宇宙」が予測する様々な事柄の中には映画「君の名は。」のモチーフとなっている並行宇宙があります。この瞬間々々にあらゆる可能性に枝分かれして、その枝分かれしたそれぞれの宇宙の中で生きている自分が存在するというのです。しかし、この「数学的な宇宙」論はまだ検証されておらず理論にとどまっています。本当はどうなっているのか・・・自分の残りの人生の中で答えが出そうにもありませんが、私を魅了して止みません。

(この記事は、過去に配信されたリンコム通信のバックナンバーです)

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